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ドーム兄弟(どーむきょうだい) 略歴

社主一族の名を冠したドーム社の歴史は1878年に始まる。仏東部地方モゼル県の公証人であったジャン・ドーム(1825-1885)が、経営破綻した「ヴェルリー(「ガラス工場」の意)・サント・カトリーヌ」をこの年に買収したのがその発端である。ジャン・ドームは創業時から経営者たちと親交があり、彼らに資金援助を行っていた。彼の死後、工場経営は二人の息子オーギュスト・ドーム(1853-1909)とアントナン・ドーム(1864-1930)に引き継がれた。その後、弟アントナンの主導で1891年頃から芸術的な製品に力を注ぐようになって、同社は大きな躍進を遂げて行く。

ドーム社が芸術的にも商業的にも成功を収めたのが照明器具の分野であった。ドーム社では1898年あたりからすでに照明器具を手掛けており、ガレ商会に先駆けて、この分野のパイオニアであった。

1900年パリ万博ではドーム兄弟にグランプリ(グループXII、クラス73、ガラス製造者部門)が、また、その協力者のアンリ・ベルジェにもメダルが授与されている。1904年には、アマルリック・ヴァルテール[ワルター](1870-1959)がドーム社に加わり(1903年11月契約)、パート・ド・ヴェールの製造に携わった。1906年からはアンリ・ベルジェのデザインにより、トカゲ、蛾、蜂といったモチーフのパート・ド・ヴェールがヴァルテールによって制作され、商業的な成功を収めた。第一次大戦後ヴァルテールはドーム社を離れ、自身の工房をナンシーに構えている。ドームの工房は1905年には400人以上の人員を抱えるまでの大規模なガラス・メーカーに成長していた。ドーム社はナンシーに現存するガラス・メーカーだが、創業者のドーム一族による経営は1987年に途絶えている。

ドーム兄弟

セイヨウトゲアザミ文フラコン(蓋付容器)

フランス東部にあるロレーヌ地方を拠点として活躍したドーム兄弟にとって、ロレーヌの自立を象徴するアザミの花には、故郷をドイツに奪われナンシーに逃れてきた境遇から、郷土愛の想いが込められている。蓋と容器が一対の組み合わせという珍しい傑作。エナメル彩と金彩の豪華な雰囲気のアザミは、その生態をつぶさに観察され、繊細さと緻密さをもって描き上げられている。どこか落ち着いた印象の作品ではあるが、透過光にかざすと温かみのある鮮やかな色が浮かび上がり、観る者の気持ちを優しく包む。時代を超えてなお、私たちの心の琴線を震わせる魅力を湛えている。

限定 1点限り
サイズ 高さ 14.3cm 胴部最大径 6.3cm
価格 1,512,000円(消費税8%込)
その他

・サイン:底部に金彩で《Daum / Nancy / ‡ 》

・鑑定証:ヨーロッパ美術品鑑定人組合発行(C.E.C.O.A/本部パリ)

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